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それなりに [読書録]

8月31日読了。
【読書NO.355】樹木希林『樹木希林 120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ
宝島社 2019年2月11日 第1刷発行

クリニックの待合室の書棚に約半年間置いてあった。
読んでみたいという興味はあったが、待合室で読むほどの時間はないし1200円+税を出費するほどの興味はなかった。
関わっている同人誌「山波 192号」を院長に読んでもらい、「いつまででもいいですよ」と貸して貰った。貸してほしいと言った記憶は無いが、興味を示したようなことは発言していたのかもしれない。
いつまでもとはいけないので、最近の私としては比較的早く読むことができた。
元々樹木希林さんの名言集なので、簡潔な文章でもあったからだ。

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わたしにとって樹木希林さんはそれなりに印象深い人であった。
大好きなのは、何てったってこれです。
「美しい人はより美しく、そうでない方はそれなりに」

ほとんど固まって元気のなかったイワヒバを今年の春から、いつも水が2㎝ほどの深さで入れ替わる処の日陰に置いていたところ、それなりに奇麗に開いていきた。
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120の遺言のなか、いくつか印象に残ったものを取り上げる。

> どうぞ、物事を面白く受け取って愉快に生きて。あんまり頑張らないで、でもへこたれないで。
 希林さんは真面目な人なのだと思う。頑張ってしまうタイプなのだろう。

> まあでも病気をしてから少し謙虚になりました。
 元々実際は、謙虚な人であったのではないかと思う。

> 歳を取ったら、みんなもっと楽に生きたらいいんじゃないですか。
 なかなか、そうはできません。つい熱くなってしまう。

> 不自由なものを受け入れる。その枠の中に自分を入れる。年とるというのは、そういうことです。
 私の場合は、やっぱり腰痛、それを受け入れながら何とか行動している。

> 寺内きんの役をやってて痛切に思うことは、ババアこそ革命を起こせる唯一の存在ってこと。
 希林さんについての私の最初の印象にあるのは、やっぱり「寺内貫太郎一家」である。
 ババアについては、そうかもしれないと思う。

> 人の悪口を言ったことがないのよ。そこが好き。男はそれでなくちゃね。
 内田裕也氏は、私が思っていたよりかなりいい人であったことを、本書で知った。

> 来世で出会わないために、今完璧に付き合いるのよ。
 裕也氏のことであるが、希林さんにとって大変に必要な人だったようだ。だったら一緒に生活していられなかったのかと思ってしまう。

> 内田さんがおかしくて、私がちゃんとしてるふうに思われた時期もあるのね。
 希林さんがどこかへ飛んでっちゃうか分からないような人で、内田さんが希林さんの重しだったらしい。その重しのぶんだけ内田さんの税金や保険料も払っていたとは、面白い。

> 彼と一緒にいると、自分は意外とまともなんじゃないかと、楽な気持ちになれた。
 若い時は希林さんが激しい感情や自我抱えていて、さらに激しい裕也氏が激しくて自分が救われたというもの。

> こうしちゃいけない、ああしちゃいけないというものの中からは、人は育たない気がする。
 そうでしょうが、中々難しいことだと思う。

> 家は女がしっかりしないとダメ。カカア天下くらいでちょうどいい。
 認めるしかない。

> 社会に出て挫折するとまずいから、わたしのとこころで傷ついていいかなって。
 こども教育のことであるが、そうだと思う。

> 世の中をダメにするのは老人の跋扈。時が来たら、誇りを持って脇にどくの。
 自分も半分世の中をダメにしているのかもしれない。まだ誇りが持てないからかな。

> 「好きな事をやって食えるようになりたい」というのは、おこがましいということですよ。
 しかし、うらやましいことである。

> 「いつかは死ぬ」じゃなくて「いつでも死ぬ」という感覚なんです。
 希林さんの云うとおり、それはやっぱり「今年の春から、いつも水が2㎝ほどの深さで入れ替わる日陰にイワヒバを置いていおいた、それなりに奇麗に開いていきた。覚悟」だろうな。

> 年を重ねるごとに力のあるいい顔になりたいんです。
 熊谷守一さんのようにと思ってのことだが、希林さんでなくて、私にとってはかなり難しいことだと思う。


> 覚悟っていうのをすると気楽ですよ。
 自分がいなくても周りの人がちゃんと生活していくと確認できればである。その意味では今の私は覚悟ができない。

> 終了するまでに美しくなりたい、という理想はあるのですよ。
 形に出てくるものではなくて、心の器量のこと。誰しも想うことだろうと思う。

ご冥福を祈るしかない。



 
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