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草雲雀(くさひばり) [読書録]

3月10日(日)、昨日も今日も寒いです、昨日よりは風がない分少しましでしたが。
昨日の明け方は、どこかの会社が発行したくじに当たり400万円をゲットした楽しい夢を見ました。宝くじではなかったことは間違いなく、なぜ400万円なのかは分かりません。


なんか素敵な日のような予感がしたのでバレンタインジャンボ10枚とスクラッチ5枚を購入してみました。とりあえずスクラッチを削ったところでは2枚の当たりで損失が600円でした。22日抽選のバレンタインジャンボに大きな期待を寄せています。
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真ん中が自分で回りが相手です。2勝は200円、6勝すれば300万円の当選です。


【2024-03 『草雲雀』(実業之日本社文庫)】、372ページの1行たりとも退屈することなく二晩半で読み上げることができました。やっぱり葉室さんには惹きつけられます。
草雲雀は、りり、りり、りり、と一晩中澄んだ音色で草むらに鳴くコオロギに似た虫だそうです。
主人公の栗屋清吾は武士の家に生まれたものの嫡男ではないため兄の世話になる「部屋住み」の立場であり藩の役職に就くには婿養子になるしかありません。しかし女中のみつと相思相愛の仲となり一生添い遂げたいと決心しました。
一方、友人の山倉伊八郎は元筆頭家老国東武左衛門の妾腹(実は藩の忍びの女頭領)の子で山倉家に養子に出され清吾と同じ部屋住みでした。家老を継ぐはずの兄が死亡(毒殺された)したため国東家へ引き取られようとしたのですが、伊八郎が家老に就任するまでには派閥の争いの中に巻き込まれ命も危ないので清吾に用心棒を依頼しました。伊八郎が家老として認められた時は藩の剣術指南役に取り立て、みつとの生活も安心して送られることが約束されたわけです。清吾は弱いくらいにおとなくし優しい人ですが剣術においては片山流の秘技「磯之波」の居合の使い手です。
清吾が伊八郎に放たれた刺客や派閥に仕える剣の名手たちから伊八郎を守り終えた時、伊八郎は父の武左衛門に、「これなる栗屋清吾がわたしを助けましたのは、兄の厄介になって暮らす三男坊の境涯から抜け出し、妻との間に子を生したいという、まことに草雲雀のごとく小さな望みを果たすためでございました」、「わたしも国東家の家督を継ぐまでは草雲雀のごとく小さい者として生きておりました。しかし此度、家督を継ぎ、派閥を率い、家老になる身になってあらためて思い知ったのは、ひとが何事かをなすのは、大きな器量を持つゆえではなく、草雲雀のごとく小さくとも、おのれもひとも裏切らぬ誠によってだということでございます」。
伊八郎の器量を試していた武左衛門が、「どうやらお前はわしの子に間違いがないようだ」と認めました。
最後は人質に取られていたみつを清吾が助け出し、みつは清吾に「ひとはひとりでは生きていけませぬ。いとしいひとを大事に思える、深い心を持ったひとになってもらいとうございます」と。
本作の肝は草雲雀に例えたこのあたりだろうと思います。
性格の反する清吾と伊八郎の会話の中には友人らしいくすっとした笑いもあり、人の誠について多くの登場人物を描きつつ剣を交える描写も緊張感があり素晴らしい作品で、今後これ以上の葉室作品には出会えないような気がします。


我が家には草雲雀はいませんがメジロはかなり慣れてきたので小庭前にいても来てくれるようになりました。
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サクラソウ
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夕食の減塩食を持ってきてくれたおじさんが、
「此処はメジロが来るんですねえ」
「メジロもシジュウカラもヒヨも来るようになりました」
「ヒヨはねー」

わたしもそうなんですがヒヨドリも受け入れられるようにならなくては、です。


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