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守山そぞろ歩き(7)小幡篇② [だるま広報]

5月29日、奥様を突然に亡くされた盆栽の友人(5歳年上)の告別式、夜のニュースでオンライン葬儀なるものがあることを知って少し驚いた。
昨日は通夜式の3時間前に式場で弔問した。何だか友人が一回り小さくなってしまったように見えたのだが、こういうのはオンラインでは伝わらないだろう。


友人のだるまさん(同い年)が、②を送ってくれているので私も助かる。
早速、続編。

       守山そぞろ歩き⑺小幡篇②
             歴史の町を歩く       東谷山六兵衛

 この辺りを歩き、寺の人などの話を聞くと鎌倉時代から江戸時代にかけての興味深い歴史の町であることがわかる。歴史好きの六兵衛にとって興味深いそぞろ歩きになっている。
不要不急ではないがこの程度の楽しみは許してもらえるだろう。
 さて小幡城址から瀬戸街道方面に下り、瓢箪山の駅の南の住宅地、廿軒家(にじゅっけんや)に向かう。
 樹木が生い茂り、欝蒼とした一角がみえる。地元の人が松蔭(まつかげ)庵と呼ぶ旧尼寺である。
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 門が締まっていたが庭の手入れをしていたおじさんに中に入れてもらうと昼なお昏(くら)く、苔むしった庭の一角に茅葺屋根の庵がひっそり建っており、鳥の囀りも聞こえてくる。
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 庵の左右に丸い塚があり、隅に「如々院月中一夢法師」と刻まれた石柱が建っている。
 ここは以前、尼寺であったが今の庵主は男性だそうである。江戸時代の後期、熱田の貧しい農家の女に金毘羅大権現が天下り、如来の教えを説き始めた。如来の前では人間すべて平等である、という如来教の教えは貧しい農民、下級武士の心をつかんだ。なぜこの地に庵が建立されたのか、詳しい資料がないが本山は熱田区籏屋にある青大慈寺である、と庭番のおじさんが教えてくれた。
 西へ歩くこと15分、矢田川橋を渡ると右に公園が見える。ここは東区である。この公園もマスクをした若いお母さんと子供の黄色い声が聞こえてくる。保育園、小学校の休校で何処も公園は満員である。すべり台は黄色いテープで使用禁止の表示がしてある。脇を通ってしばらく歩くと石段の下に「無住國師入定地」「靈鷲(りょうじゅ)山長母禪寺」と刻まれた石柱が建っている。明和4年(1767)の大洪水で矢田川がこの寺の南側を突き破り流れを変えて、北側を流れるようになった。この大洪水では守山村の25%が水没し、死者も2千人を越えたという。当時でいえば伊勢湾台風なみの被害を被ったのであったろう。
 守山村から長母寺だけが切り離されることになり、今では東区木が崎になっている。
 ゆるやかな石段を登ると長母寺由来(名古屋市教育委員会)が建っている。
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前述長慶寺に縁のある寺である。
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創建したのは山田重忠であり、その後荒廃していたが弘長3年(1263)山田道園坊が母親の慰霊のために再建し、天台宗から臨済宗に改宗し、無住国師を開山とした。その後尾張二代藩主光友の命により再興されたと記されている。この殿様の名前は大森寺の由来でも出会った。きっと信仰に厚い名君だったのであろう。
 さらにこの寺の開山無住国師が尾張万歳を広めたといわれている。しかつめらしい説教よりも万歳が村民の心を捉えたのであろう。
寺宝の無住国師坐像は10月10日に行われる開山忌に公開されるそうだが写真で見る坐像の表情は穏やかに微笑んでいるように見える。
きっと村民を慈しむ親しみやすい坊様であったことであろう。
 本堂の左手に熱田社が祀られている。熱田神宮とこの寺の関係は深いとされており、国師在任中は熱田の神が毎月朔日(ついたち)に参禅に訪れたという謂れがある。熱田神宮から霊宝として「八重つつじ」が贈られた。このつつじは寺宝だといわれ、この枝を折った牢人が狂い死にしたという話も伝わっているそうだ。
 つつじは開山堂の前の「さざれ石」の横に植えられ、赤い花が満開であった。
 寺を出て公園の裏手から矢田川の堤防に登る。対岸には守山の宝勝寺の森が見える。この辺りが流れの変わった場所だったのだろう。
 自然の力には驚愕するばかりである。 了


だるまさんとは高校時代は全く知らない間柄だった。退職後に初めて参加した同高卒の親しい友人らの飲み会で、「陶芸をやっています」と、初参加の私が挨拶したところだるまさんが「オレもやっているのだ」と話しかけてくれた。それがお付き合いの始まりであった。
文中の松蔭庵と呼ぶ旧尼寺あたりで、詠んだとも思われるだるまさんの句。
昼昏き尼庵にほらり黒揚羽

に、家人さんが「らくだ句会」第150回の特選句として選んでいる(誰の句かは分からない状態)ので、こうなると腐れ縁(笑)なのかもしれない。

盆栽の友人は、だるまさんよりも後からのお付き合い、小さく見えてしまったその友人に、「落ち着いたら連絡をしてください」と、声をかけて告別式場を後にした。  合掌


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