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『少年と犬』 [だるま広報]

7月31日、コロナ、コロナで1カ月があっという間に過ぎちゃった感じ。
家人さんの体調も戻った(痛みは変わらない)ので、今夜は鰻丼(私)とひつまぷし。[るんるん]
丑の日だと長蛇の列で交通整理も出るほど店なので、2日前の今日テイクアウト。意外にもテイクアウトがものすごく多かった。
あー[バッド(下向き矢印)]、今日も全国で1557人の過去最高記録を更新、まるで拙ブログの毎日連続更新のようだ。


だるまさんからロクちゃん関連記事が届いたのでお知らせ。
毎回、1300~1400字前後でまとめるだるまさんの筆力は nice! と思う。しかも、今回はあのだるまさんが涙とは驚く。

      『少年と犬』(馳星周著)
                東谷山六兵衛

 馳星周といえばノワール(暗黒)、ピカレスク(悪漢)小説の作家というイメージを持っている。私は『不夜城』というデビュー作一冊しか読んでいない。
 先日、『少年と犬』という小説で第163回直木賞を受賞したというニュースが流れた。デビューして20年以上たって7回目の直木賞候補作だそうである。凡そ馳星周という小説家の題名としてはふさわしくないように思えた。しかしロクという名のトイプードルと一緒に生活する私は逆にこの題名に惹かれて本屋に走った。本屋の「芥川賞・直木賞受賞コーナー」に一冊だけ残っていた。早速手に取ってレジに向かった。レジのお姉さんによるとこれが最後の一冊だそうである。
 本を読むのもタイミングである。元来せっかちな方なので予約してまで読むタイプではない。この本は私に縁があったのだ。
 隣のスタバに入り、コーヒーを飲みながら早速、本を読み始めた。
とある東北地方のコンビニの駐車場で男は首輪をつけただけの痩せた犬を見つけた。犬は涎を垂らしてジッと男を見ている。しかし賢そうで意思の強そうな目をしている。
「腹が減っているのか」
 男は犬に声をかけた。コンビニで買ったパンを手に取り、ちぎって口元に持っていくとひったくる様にがつがつと食べる。
「そうか腹が減っていたのか」
 男は店に戻り、犬用のささ身ジャーキーを買って犬に食わせて車に乗せ、家に連れて帰った。
ここから始まるこの物語は六部構成になっており飼主がその都度変わっていく。
首輪に書いてあった犬の名前は「多聞」、シエパードと和犬の雑種のようである。
最初の飼主は守り神の多聞天からとったものであろう。この第一話には避難所や津波の事も書かれており、多聞は東日本大震災で被災して飼主と離れ離れになった犬であることを暗示させる。元の飼主を探しているのか車に乗っても、いつも南の方角を気にしている。最初に多聞を見つけた男は震災で警備が手薄になった貴金属店を襲撃する窃盗団の車の運転手である。外国人の窃盗団のリーダーとこの運転手は多聞を可愛がるのだが悲劇的な結末を迎える。
読み進んでいくとその都度変わる飼主は孤独と死の匂いがしている。飼主は多聞によって束の間の平穏と安らぎを与えられる。
しかしそのぶん飼主たちの末路は悲劇的である。題名になっている『少年と犬』の最後の飼主の少年を除いては……。
 私は300ページに渡るこの本を一日で読み終えた。私にとっては長編のこの本を一気に読み終えるのは久し振りである。
出だしから馳星周らしいノアール小説のテンポのいい展開であり、一気に読み進めた。5年がかりで多聞が最後に辿り着いたのは熊本。この少年との出会いは初めてではないことが明らかになっていく。
最後に辿り着いたのが熊本とは……。
そして少年との最後の別れの場面では不覚にも涙でメガネが曇り、しばし目を閉じてから読み終えた。
小説を読んで涙が出る感性が、私にもまだ残っていたのか……。
結末は書かずにおこう。是非一読されることをお勧めする。
「人の心を理解し、人に寄り添ってくれる。こんな動物は他にはいない」(第5話「老人と犬」より)。

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ロクちゃん(下)が、久しぶりに友達のコムギさんに会って「あいつも退屈しとるなぁ。ちょっと遊んだろか」と言っていたらしい。
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コロナ禍のなか、間隔を置いて皆が他に寄り添っていくことが大切であることをロクちゃんは理解しているよなディスタンス。

明日(8/1)、ご褒美に約束のおやつをだるまじいさんに渡しておく(『少年と犬』を借りる)から、じいさんに取られないようにね(^。^)y-.。o○
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照ノ富士、経験の差を見せてくれて朝乃山にとっては壁のような存在であったと思う。


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